「中華人民共和国専利法」の改正に関する全国人民代表大会常務委員会の決定

 

20201017日第13期の全国人民代表大会常務委員会の第22回会議で採択した)

 

13期全国人民代表大会常務委員会第22回会議では、「中華人民共和国専利法」を以下のように改正することを決定した。

 

1、第2条第4項を「意匠とは、物品の全体又は部分的な形状、模様又はそれらの結合並びに色彩と形状、模様の結合について提案された美感に富み、かつ工業的応用に適した新たなデザインをいう」と改正した。

2、第6条第1項を「所属単位の任務を遂行し、または主に所属単位の物質、技術条件を利用して完成した発明創造は職務発明創造とする。職務発明創造について、専利を出願する権利は当該単位に帰属し、出願が許可された場合、当該単位が専利権者となる。当該単位は、その職務発明創造に係る専利を申請する権利及び専利権を法に依り処分し、関連する発明創造の実施と運用を促進させることができる」と改正した。

3、第14条を第49条に変更した。

4、第16条を第15条に変更し、「国は、専利権の付与された単位が、株式、オプション、配当などの形で財産権による激励を実施し、発明者又は設計者にイノベーションによる収益が合理的に分配されるようにすることを奨励する」ことを第2項として追加した。

5、「専利出願及び専利権の行使は、誠実信用の原則に従わなければならない。専利権を濫用して公共の利益又は他人の合法的な権益を損なってはならない。

専利権を濫用して、競争を排除し又は制限して、独占行為を構成する場合、「中華人民共和国独占禁止法」に基づいて処理する」ことを第20条として追加した。

6、第21条第1項における「及び専利再審委員会」を削除した。

2項を「国務院専利行政部門は、専利情報の公共サービスシステムの構築を強化し、専利情報を、完全でかつ正確に、遅滞なく公表し、専利基礎データを提供し、専利公報を定期的に発行し、情報の伝播と利用を促進しなければならない」と改正した。

7、「(一)国が緊急事態又は非常事態になった場合、公共利益のために初めて公開された場合」を第24条に追加した。

8、第25条第1項の(五)を「(五)原子核変換方法及び原子核変換方法により得られた物質」と改正した。

9、第29条第2項を「出願人が発明又は実用新案を中国で初めて専利出願した日から12 月以内又は意匠について中国で初めて出願した日から6月以内に、再度国務院専利行政部門に同様の主題について専利出願を提出する場合、優先権を享有することができる」と改正した。

10、第30条を「出願人が発明、実用新案専利優先権を主張する場合、出願に際して書面による声明を提出しなければならず、かつ最初に出願した日から16 月以内に、最初に提出した専利出願書類の写しを提出しなければならない。

出願人が意匠専利優先権を主張する場合、出願に際して書面による声明を提出しなければならず、かつ、3 月以内に最初に提出した専利出願書類の写しを提出しなければならない。

出願人が書面による声明が提出されておらず、又は期間を経過しても専利出願書類の写しが提出されていない場合は、優先権が主張されていなかったものとみなす。」と改正した。

11、第41条を「専利出願人は国務院専利行政部門による拒絶査定に対して不服の場合、通知を受領した日から3 月以内に、国務院専利行政部門に復審を請求することができる。国務院専利行政部門は復審の後に決定を行い、かつ専利出願人に通知する。

専利出願人は国務院専利行政部門による復審決定に対して不服がある場合、通知を受領した日から3 月以内に人民法院に訴えを提起することができる。」と改正した。

12、第42条を「発明専利権の存続期間は20 年とし、実用新案専利権の存続期間は10年とし、意匠専利権の存続期間は15 年とし、いずれも出願日から起算する。

発明専利の出願日から満4年で、かつ実体審査請求日から満3年後に発明専利権が付与された場合、国務院専利行政部門は、専利権者の請求により、発明専利の権利化の過程における不合理な遅延について、専利権の存続期間の補償を与えるものとする。ただし、出願人に起因する不合理な遅延はこの限りでない。

新薬の上市の評価承認審査に占用された期間を補償するために、中国での上市の承認を得た新薬に関連する発明専利に対して、国務院行政管理部門は、専利権者の請求により、専利権の存続期間の補償を与えるものとする。補償期間は、5年を超えないものとし、新薬の上市の承認後の合計の専利権の存続期間は14年を超えないものとする。」と改正した。

13、第45条、第46条の「専利復審委員会」を「国務院専利行政部門」と改正した。

14、第6章の章名を「専利実施の特別許諾」と改正した。

15、「国務院専利行政部門、地方人民政府の専利業務を管理する部門は、同級の関連部門と連携して措置を取ることで、専利公共サービスを強化し、専利の実施及び運用を促進しなければならない」ことを第48条として追加した。

16、「専利権者は、国務院専利行政部門に対し、いかなる単位又は個人に対してもその専利の実施を許諾する意思があることを書面により声明し、実施許諾料の支払い方法、基準を明確にした場合、国務院専利行政部門が公告し、開放許諾を実行する。実用新案、意匠専利について開放許諾声明を提出する場合、専利権評価報告を提供しなければならない。

専利権者は、開放許諾声明を撤回する場合、書面により提出し、国務院専利行政部門により公告しなければならない。開放許諾声明が公告により撤回されても、それ以前の開放許諾の効力には影響を及ぼさない」ことを第50条とした追加した。

17、「いかなる単位又は個人も専利の開放許諾を実施する意思がある場合、書面により専利権者に通知し、公告された実施許諾料の支払い方法、基準に従って実施許諾料を支払うと、専利の実施許諾を取得したものとする。

開放許諾期間中、専利権者の納付する専利年金について相応の減免を与える。

開放許諾を実行する専利権者は、被許諾者と実施許諾料について協議した後に通常の実施許諾をすることができる。ただし、当該専利について独占又は排他的許諾をしてはならない。」ことを第51条とした追加した。

18、「当事者が開放許諾の実施について紛争を生じた場合、当事者の協議による解決を図り、協議を望まない又は協議が成立しない場合、国務院専利行政部門に調停を申し立てることができ、人民法院に訴えを提起することもできる」ことを第52条とした追加した。

19、第61条を第66条と改正し、第2項を「専利権侵害紛争が実用新案専利権又は意匠専利権に関する場合、人民法院又は専利業務管理部門は、専利権者又は利害関係人に対し、国務院専利行政部門が関連する実用新案又は意匠について調査、分析及び評価後に作成した専利権評価報告を、専利権侵害紛争の審理、処理のための証拠として提出することを求めることができる。専利権者、利害関係人又は被疑侵害者は専利権評価報告を自発的に提出することもできる」と改正した。

20、第63条を第68条に変更し、「専利を仮冒した場合、法に依り民事責任を負うほか、専利の執行を担当する部門が是正を命じかつ公告し、違法所得を没収し、違法所得の5倍以下の過料を併科することができる。違法所得がない場合、又は違法所得が5万元以下の場合は25 万元以下の過料を科することができる。犯罪を構成する場合は、法に依り刑事責任を追及する」と改正した。

21、第64条を第69条に変更し、「専利の執行を担当する部門は、既に取得した証拠に基づいて専利仮冒の疑いがある行為に対して取り締まる際に、以下の措置を取る権限を有する。

(一)関係する当事者を尋問し、違法の疑いのある行為に関連する事情を調査すること;

(二)当事者の被疑違法行為の場所に対して現場検証を実施すること;

(三)被疑違法行為に関連する契約、領収書、帳簿及びその他の関連資料を調べ、複製すること;

(四)被疑違法行為に係る製品を検査すること;

(五)専利を仮冒する製品であることを証拠により証明した場合は、封印し又は差押えること。

専利業務管理部門は専利権者又は利害関係人の請求により専利権侵害紛争処理をする時、前項第(一)号、第(二)号、第(四)号に掲げる措置を取ることができる。

専利の法的執行を担当する部門、専利業務管理部門が法に依り前2項に規定する職権を行使する場合、当事者は協力し、助力しなければならず、拒否したり、妨害したりしてはならない。」と改正した。

22、「国務院専利行政部門は、専利権者又は利害関係人の請求により、全国で重大な影響を及ぼす専利権侵害紛争を処理することができる。

地方人民政府の専利管理業務部門は、専利権者又は利害関係人の請求により、専利権侵害紛争を処理し、本行政領域における同一の専利権侵害事件に対しては併合して処理することができ、領域を跨って同一の専利権侵害事件に対しては、上級の地方人民政府の専利業務を管理する部門による処理を求めることができる」ことを第70条として追加した。

23、第65条を第71条に変更し、「専利権侵害による賠償額は、権利者が権利侵害されたことによって蒙った実際の損害又は侵害者の侵害行為によって得られた利益に基づいて算定される。権利者の損害又は侵害者の得られた利益の算定が困難な場合、当該専利の実施許諾料の倍数を参酌して合理的に算定する。故意に専利権を侵害し、情状が重い場合、上述の方法に基づいて算定した額の1倍以上5倍以下で賠償額を算定することができる。

権利者の損害、侵害者の得られた利益及び専利の実施許諾料を算定することがいずれも困難な場合、人民法院は専利権の種類、権利侵害行為の性質及び情状等の要素に基づき、3万元以上500 万元以下の賠償を確定することができる。

賠償額は、権利者が侵害行為を制止するために支払った合理的な支出も含まなければならない。

人民法院は、賠償額の算定のために、権利者がすでに挙証に尽力しており、侵害行為に関連する帳簿、資料が主に侵害者が保有されている場合、侵害者に侵害行為に関連する帳簿、資料の提供を命ずることができ、侵害者が提供せず又は虚偽の帳簿、資料を提供した場合、人民法院は権利者の主張及び権利者が提供した証拠を参酌して賠償額を判定することができる」と改正した。

24、第66条を第72条に変更し、「専利権者又は利害関係人が、他人が権利侵害行為を行っている又は行おうとしていること、権利を実現する行為を妨害することを証拠により証明し、速やかに制止しなければ、その合法的権益が回復し難い損害を蒙るおそれがある場合、訴訟を提起する前に法に依り人民法院に財産保全を取ること、一定の行為をすること、または、一定の行為を禁止することを命ずる措置を取ることを申立てることができる」と改正した。

25、第67条を第73条に変更し、「専利権侵害行為の制止のために、証拠が滅失するおそれがあり、または、その後取得が困難になる場合、専利権者または利害関係人は、訴訟の提起前に法に依り人民法院に証拠保全を申立てることできる」と改正した。

26、第68条を第74条に変更し、「専利権侵害訴訟の時効は3年とし、専利権者又は利害関係人が権利侵害行為及び侵害者を知った日又は知り得るべき日より起算する。

発明専利が出願公開されてから専利権が付与されるまでの間に当該発明を使用して、適額の実施料を支払っていない場合、専利権者の実施料の支払いを要求する訴訟の時効3年とし、専利権者は他人がその発明を使用していることを知った日又は知り得るべき日より起算する。ただし、専利権者が専利権の付与日前にすでに知った場合又は知り得るべきであった場合、専利権の付与日より起算する。」と改正した。

27、「薬品の上市の評価承認審査の過程で、薬品上市許可申請人が、関連の専利権者又は利害関係人と、登録の申請に係る薬品に関連する専利権により紛争を生じた場合、関連の当事者は人民法院に訴訟を提起し、登録の申請に係る医薬品に関連する技術案が他人の薬品専利権の保護範囲に属するか否かについて判決を求めることができる。国務院薬品監督管理部門は、所定の期間内に、人民法院による発効裁判に基づいて関連の薬品の上市の承認を一旦停止させるか否かを決定することができる。

薬品上市許可申請人と関連の専利権者又は利害関係人は、登録の申請に係る薬品関連専利権紛争について、国務院専利行政部門に行政裁決を求めることもできる。

国務院薬品監督管理部門は、国務院専利行政部門と連携して、薬品の上市の承認審査と薬品の上市承認申請段階における専利紛争解決との具体的な整合方法を制定し、国務院の同意を得て実施する」ことを第76条として追加した。

28、第72条を削除した。

29、第73条を第79条、第74条を第80条に変更し、その中の「行政処分」を「処分」に改正した。

本決定は202161日から施行される。

「中華人民共和国専利法」は、本決定に基づいて相応の改正を行い、条文の順序に対し相応の調整を行い、改めて公表する。

(由来:新華社)

 

日付:2020-10-19リストに戻る
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